カツオいいとこどりの巻






 八坂 神奈子。職業神様。人々は彼女を神として信仰していた。
 ……しかしそれは昔の話であって。今でははたして神と呼べるのかどうか?自分が何者であるのかが曖昧な存在になっている。
 そのため新たな信仰を得るために元の世界から幻想郷に越してきた今でも中々信仰を得られないでいる。
「・・・・あぁ、信仰されたい。私は信仰されたいの」
神奈子は神社の鏡内を流し見しながらそう呟いた。
「信仰されたい、という気持ちは分かりますが……。呟くのならば河童でも天狗でもできますよ。信仰を得たいのならば自分から行動しないと……」
「うるさい、うるさいのよ早苗。神様が自分から何かするよりも願いを聞いていたほうが楽に信仰を得られそうだもの。信仰、得たいわ・・・・」
 自堕落な神様を呆れながら巫女、東風谷 早苗は今日も鏡内を竹箒で掃除するのであった。





「信仰を得ないと神様失格……か。よくできてる仕組みだこと。私なんて昔取った杵柄。信仰なぞとうに失ってますっつー話なの」
 この神様、それにしても自堕落である。神社の縁側で寝ているだけの神様(らしいもの)に信仰など集まるはずもない。
「貴女を祭る巫女としては何か努力しないといけないのでしょうけど・・・・私ができるのは奇跡を起こす程度のことのみですし……」
 奇跡を起こす程度の能力。それが早苗の能力であった。
「なら奇跡を起こしてみてよ。ほら、奇跡!奇跡!!」
 内心焦る切羽詰った神様、神奈子。
「んー……。面倒ですけど神奈子様がいうなら……せいっ!!」
 カッ!! と一瞬辺りが光ったのかと思うと突然神奈子の身体が光りだしたのである。
「な……なんだか力がみなぎってくるわ!!」
「これって……神奈子様の信仰が帰ってくるという奇跡なのかも!!」
 確かに神奈子の身体には力がみなぎっていた。そう、強すぎるほどに。
「キタキタキタキグワアァァァァァァァァァッ!!」
 ブチブチブチィ!!!ブシューーーー!!
「ああっ! 神奈子様の身体中のありとあらゆる血管が切れた!!」
 内心は慌てふためく早苗だがあくまでも冷静である。確実に今起きていることを確認していくのが早苗なのだ。
「血が……血がとまらないよおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
もはや信仰どころじゃない神様(血管が切れている)神奈子。
「はい!絆創膏です! 神奈子様!!」
「で……でかした!! 早苗! わたしゃあんたを信仰するよ!!」
 絆創膏一枚。
「足りないよぉぉぉぉぉぉ!!」
 ブシューーーーーー!!
 ベタベタと早苗に神奈子の鮮血が降り注ぐ。
「あぁ……神奈子様の……血ィ……ステキ」
 仕舞いには鮮血を舐めだす早苗に神奈子はぞっとした。
「あんたの趣味って……」



カツオ「終わりだよー!!」

















「熱い」
 この女、何をワガママいっていやがる。
 風呂場のお湯が熱かったのだろう。それはわかる。ただ、居候の身で家主である俺に何ワガママいってくれてんのって思う。
 それに。
 それにこの女は何で恥ずかしげもなく己の裸体を俺に晒しているのだろうか。熱めのお湯に浸かったせいか肌がほんのり桃色に染まっているし、羞恥心が無いのか自らの局部に当たる部分を隠すこともしないためにすべてが丸見えである。丸見え。
 腰の箇所まで真っ直ぐに伸びている黒髪には水滴が滴っている。いくらこの女が貧乳で背が低くたって、そんな様をみせられたらセクシーだと男の本能が反応してしまう。
「熱い」
 この女はそんな俺の葛藤も知らずにお湯の温度についてひたすら抗議してくる。熱い、の一言でごり押しする根性は認めてやってもいい。
 普段ならここで嫌な顔をしつつも俺はお湯を埋めてやるだろう。そんなこと自分でやってほしいのだが何故かこいつは常に俺任せだ。何事も。
 二人ともこう見えていい大人だ。俺は会社にしっかり勤めているのに、こいつと来たら居候、いやパラサイトだ。寄生虫と変わらん。そう考えると俺は何でこの女を養っているのだろうか。結婚している訳でもないのに。
 ある日帰ると昔からの知り合いが部屋に居た。無口で不思議な女。何故か合い鍵を持って。そして今に至る。そんな感じで勝手に住み着いているこの女はいったい何なのだ。
 そう考えると、ふと俺の心に悪魔がささやいた。

『見返りぐらいもらってもいいんじゃねーか?』

 やめろ悪魔! 俺の本能が賛同しかけている。見返り、欲しいじゃないか。だって今のこの状況っていわば。
 据え膳。
 喰わねば男の恥って聞きます。食べちゃっていいのか。いいのか俺。
 この女、はっきりいって可愛い。俺の好み、というか理想だ。性格に難はあるが。
 俺だって養っているのだ。こんなに恥じらいのない女なら貞操観念も希薄だろう。据え膳だぞ俺。いいか、一気にいくぜ。
 俺は彼女に近づき、肩を押すようにして優しく壁に寄せる。そして壁に両手をついてこの女を逃げられないようにする。
 この女、目を白黒させてキョトンとしてやがる。お前が悪いんだぞ。いや、この場合は俺が悪いのか? もうどっちでもいいや、いただきます。
 そんなことを考えていたら、彼女がゆっくりと俺を見つめて微笑み、つぶやいた。
「やっと」
「ん?」
「やっと、襲ってくれた」



カツオ「終わりだよー!!」







「あぁっ! 姫様姫様愛していると私は、えーりんこと永琳は! あなたのことばかり考えて日々枕やら布団やらショーツやらアレやソレや濡れに濡らしてしまって、それもこれも姫様のニートをこじらせたせいというべきか! あなたが部屋から出ないで夜な夜なマウスをカチカチカチカチカチカチカチカチうどんげが「姫のクリック音がうるさくて夜眠れない」なんていってたけどその頭を弓矢でストーン! と射抜きました! 姫が夜な夜なマウスをカチカチカチカチカチカチカチカチすることで私は姫様のダメ人間さを改めて確認することが出来て、そのクリック音にあわけて自分の秘所をクチュクチュクチュクチュ……って何言わせてるんですか、あぁ私まで姫様のようなどうしようもない屑でゴミで塵のような汚物! 腐った人間! 不老不死なのに腐るなんてまるでトンチ! 姫様がびょうぶ、もとい部屋から出るにはどうしたらいい? うどんげ答えなさいっていったら「わかりません」っていったからその頭を弓矢でストーン! と射抜きました! 答えは部屋から出さないことに決まってますよね、姫様! 姫様の部屋から臭ってくるゴミや、風呂に何日も入らないでネトゲやらエロゲやらニコニコやらやってる姫様の自信の腐臭が嗅げなくなったら私は今後どのようにして生きていけばいいのでしょう? 天才故の悩みってこんなにも辛いとは……と毎晩自問自答しながら自慰にふけるわけなんですが……って、姫様が移っちゃったのでしょうか私は? あんな馬鹿にはなりたくなカツオ「終わりだよー!!」
 



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