パルいあいつ・サンプル
「……妬ましい」
やった、成功!
「パルスィが妬ましい!」
……じゃなかった。
「って、へ? わ、私?」
「うんっ!」
うんって可愛……じゃ、じゃなくって。
なんか変なことになってる気がする……うるうるした瞳でこっち見ちゃってるんだけど。
そんな私の戸惑いもよそに、勇儀は私にすがりつくように寄ってきた。
「パルスィはどうしてそんなに可愛いんだ……」
「か、可愛いって……」
おもむろに勇儀は私の頬を撫でる。瞬間私の顔は沸騰しそうなぐらい真っ赤になっていたのだが、そんなことを気にする様子もなく言葉を続けた。
「そう、パルスィの女の子らしい愛嬌。拗ねていても照れていても内面から光る可愛らしさ。ああ、このもちもちっとしたほっぺた……なんて妬ましい! 私ももっと女らしかったら……!」
「そ、そんなこと言われても……私にはむしろあんたの方が妬ましいわよ。皆の人気者で、私みたいな奴でも笑わせてくれるぐらい気さくで……見た目だって、あんたの方が綺麗じゃない。スタイル良いし、胸だって……」
「何を言ってる! 私はパルスィが優しいの知ってるぞ! 皆が見てない所で宴会を楽しく過ごせるよう気を配ってくれていて、私がやり過ぎてもさり気なくたしなめてくれて。それに例えパルスィが怒るようなことをしても、最後には絶対許してくれる。私がどれだけパルスィを必要としてるか……分かってるのか!?」
「なっ、な……!」
突然の告白に狼狽えている所に、勇儀は私の胸元に顔を埋めだした。もう胸の動悸はピークに達している。
「それに胸のサイズが何だ! 私は、パルスィが隣にいるだけで胸がどきどきして仕方がないんだ! スカートからのぞく健康的な脚! 僅かな風でそよぐ柔らかな髪! 女の子らしい良い香り! こんなにいい女が居て、惚れるなという方が無理な話だ!」
「あ、あうあうあう……」
やばい。
何がやばいかっていうと、それを聞いて私がどうしようもないぐらい嬉しくって、どうしようもないぐらい愛しくなってるってことだ。
こ、これ……もしも何かされちゃっても、拒めないかもしれない!
ふと気がつくと胸元の勇儀が何やら物欲しそうな眼差しでこちらを見つめていた。 そ、そんな眼で何を見て……ってああ!
「なぁ、パルスィ……」
「ふ、ふぇ?」
「……キス、しても良いか?」
(続く)
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