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冬虫夏草ちゃん



・1日目

「何だろうこれ……」

 朝、リグルが目を覚ますと頭にキノコが生えていた。
 細長く、白く、気持ち悪い形状のキノコ。それがリグルの緑髪をかき分け、頭皮から直接生えていたのである。
 頭部に違和感を感じたリグルは、手鏡で奇妙なキノコの確認をしている。

「気持ち悪い……」

 ふと最近のことを思い返す。
 頭部にチクッとした痛みが走るときがあった。あの時は頭痛ということで自己解決してしまったが、ひょっとしたらキノコが生えてくる前兆だったのかもしれない。

「引き抜いちゃおう……」

 リグルはポツリとつぶやく。
 キノコが生えているのなら、引き抜いてしまえばいい。そう決心したのである。
 植物なんだ、抜いておしまいだろう。
 リグルはそう思って、キノコを掴もうとして人差し指が幹に触れる。
 その瞬間。

「――ッギイィィイィッッッッ!」

 リグルの頭部に、外側から内側から激痛が走った。まるで雷が落ちて頭から全身を焦がし、裂かれてしまうような痛み。
 踏みつぶした時のドブネズミのような絶叫をあげ、目玉を左右非対称にグルグルと回しながらへたり込むリグル。
 ひざをついた足をガクガクとふるわせ、少し間を置いて履き物がじわりと湿ったかと思うと放尿してしまった。膝をつたい、地面に尿の溜まりが出来る。
 悲痛な叫びと放尿のあとに、静寂が場を包む。その間、下に溜まった小便が湯気だってリグルの鼻をアンモニア臭が突く。
 やがて落ち着きを取り戻したリグルは、思考回路がはっきりしない状態ではあったものの痛みの和らぎを待つ。

「な……何これ……私じゃどうすることも出来ない……」

 リグルは足下をふらつかせながら、永遠亭に向かうのであった。



★★★★★



「…………これは冬虫夏草の一種ね」
「冬虫夏草?」
「虫の幼虫に寄生して養分を奪う植物が冬虫夏草。これはそれよりもたちが悪いモノだけど。生物に寄生して、養分を奪い、最終的には支配してしまうキノコ。冬虫夏草というよりもマタンゴに近いかしらね」

 永遠亭の診察室。
 医者である八意永琳に頭部のキノコを対処してもらおうと、重い足取りを運び永遠亭までやってきたリグル。彼女はそう診察されたのである。

「あの、永琳さん。これって治るんでしょうか……?」
「……さぁ?」

 首をかしげて、間の抜けた返事のする永琳。

「な、治らないんですか?」
「極めて珍しい事例ね。昔、月の医学書で見たことがあるけど、まさか実在するなんて思ってもみなかったわ。うふふ」
「うふふ、じゃないですよ! どうすればいいんですか、助けてください!」

 必死になって永琳にすがるリグル。
 生物に寄生して、養分を吸う。最終的には支配されてしまう。
 得体の知れない恐怖がリグルを焦らせる。

「じゃあキノコ、抜いちゃいましょうか? 抜いたら治るんじゃないかしらね。こういうのは元を絶てばいいのよ」
「ヒッ……! ぬ、抜くんですか?」
「あら、イヤなのかしら? 私はいいけど。あなたが蛍妖怪からキノコ妖怪になるだけの話でしょうし」

 永琳は不敵に笑う。

「う、その……さっき抜こうとして触ったんですけど……」
「けど?」
「酷い激痛が……脳を揺さぶられるような……それが怖くて……」
「でもキノコのエサになるよりはマシじゃないかしら? この永琳に任せてくれないかしら? 少しの我慢で何とかなると思って」

 不明確な医療行為……キノコを抜かれれば治るのか、リグルには確証が無かったが今は永琳の言葉を信じるしかない。
 死ぬよりはマシ。
 そう考えて決心をする。

「永琳さん……抜いてください……。や、優しくしてくださいね?」
「あら、見た目も相まって何だかエロチック」
「冗談やめてください……」

 永琳はジョークを交えながらリグルを診察室の横にあるベッドに拘束する。
 仰向けになって、身体を鋼鉄の枷で固定する。
 リグルが苦痛を我慢しきれずに錯乱しても抵抗出来なくするためだ。

「ちょっとの辛抱だから」

 道具を用意しながらリグルに語りかける永琳。
 医師として患者に声をかけて緊張を解いているのだった。
 永琳は殺菌された医療手袋に、胞子対策のガスマスクを装着する。
 そして手袋に包まれた両手でリグルのキノコを握った。

「――ウギギっ、ゲェッ、ギァアァアアァッッッッッ!」

 少女の見た目からは想像の出来ないような絶叫。
 白目を剥いて、鼻水を垂れ流しにしながら金切り声を上げるリグル。それに意も関せずキノコを握る力を強める永琳。

「アアアアアアアアアアッ! アアアァァアっ! ギイイイイイイイイイイイイッッッ! ヴォッッッッッッッッ! ゲギギギギギギギッッッ!!!!!!」

 診察室に響き渡る慟哭。
 固定された手足を、手首の先だけグリンと回しながら抗うリグル。

「オッゴオホホオホオオ! エゲッ、ギ、アァアザヴァアヴァアヴァっ! ギ、ゲギゲゲゲギッッッッッ!」
「手袋越しでも気持ち悪い感触……。とっとと終わらせちゃいましょう。せーの、で抜くから我慢してなさいね…………せーのっ」

 かけ声と共にキノコを引き抜こうと、永琳はキノコを握った両手を思いっきり引っ張る。
 すると。

「――ンギッ」

 虫をすりつぶしたような一瞬のうめき声。
 キノコを引き抜こうと引っ張った瞬間、永琳の両手には妙な感触があった。何かに引っかかるような、引き抜こうとしても邪魔をされている感触。
 それと同時に、引っ張られた瞬間にリグルの目玉がぐるりと白目になる。そしてそのまま舌を突きだして気絶してしまった。

「……なるほどね。このキノコ、脳に直接繋がっちゃったのね。引っ張ると目玉ごと持ち上げられちゃう、と。面白いデータがとれたわね」

 作業のように、キノコを引っ張りながらリグルの反応を確認する。

「これは厄介ね。引っこ抜けないどころか脳に繋がってるとなると手出しも出来ないし。うーん、それじゃ……そうね……」

 永琳は眉間にシワを寄せて悩む。
 悩んでいるうちに、やがて一つの答えにたどり着く。

「……うふふ」

 永琳はリグルを冷たい目で見つめながら、表情を変えることなく言葉だけで笑った。



・2日目

「う……あ……」

 リグルが目を覚ますと、そこは見知らぬ場所であった。
 コンクリートで出来た無骨な部屋。
 上には薄明かりが付く電灯と、部屋全体を撮影しているカメラがぶら下がっている。閉ざされた小さな小窓。あとは何もない。
 リグルが現状を把握していると、カメラから音声が聞こえてきた。

『あ〜、あ〜。聞こえてるかしら』
「え……永琳さん、の声……?」

 カメラから聞こえてきたのは永琳の声。
 そこでリグルの記憶がはっきりしてくる。
 頭にキノコが生えて、永琳に診察してもらって、引き抜かれようとして……それで……?

『あら、ちゃんと聞こえてるのね。河童の作るモノもちゃんと役に立つじゃない』
「永琳さん……私は……ここは……一体……!」
『えっと。診察の結果、あなたは治りません。ご愁傷様です』
「えっ……それって……」

 愕然とするリグル。
 カメラから引き続き音声が聞こえてくる。

『治らない以上、医師として私が出来ることはこれ以上被害者を増やさないこと。あなたが外でうろついているとキノコの胞子が飛んで周りがキノコだらけに なってしまうから。冬虫夏草だらけというか。私は蓬莱人だから平気だけど、他の人間や妖怪たちはそうもいかないでしょうし。だから隔離させていただきまし た』
「だから私を隔離して……それで、どうするつもりですか……?」
『どうもしないわよ?』
「ど、どうもしないって……つまり……」
『そこでキノコに支配されて、そのまま朽ち果てれば万々歳ね。これで被害は広がることもないし。めでたしめでたし』

 永琳は遠回しに死刑を宣告する。

「どうして……私がこんな目に……」

 宣告を受けて唖然とするリグル。
 そんなリグルに、永琳は冷たい声で言う。

『前兆はあったんじゃないかしら? いきなりそんなに大きなキノコが生えるなんてあり得ないでしょうし。病気っていうのは早いうちに対処出来れば出来るほど治るものよ?』
「前兆……は……」
『その反応だとあったみたいね?』

 前兆、と聞いて思い出す。
 頻繁に起こっていた頭部の痛みのことを。

『癌だってそうじゃない。早期発見出来ればいいけど、発見が遅くて転移でもしちゃったらもう助かることは出来ない。寄生されるのも癌と一緒よ、もう手遅れなの』
「………………や……だ……」
『あら?』
「イヤだぁッ! ここからっ! ここからぁッ! ここから出せェエエェエェエエェエェェッッッ!!!!」

 突然、発狂するリグル。
 両手で顔を掻きむしり、足をばたつかせて「出せ!」と叫び続ける。
 その姿は他者から見たら明らかに狂っていると言われてもおかしくない。

「出せェエエェエェエェッッッ!!!!!」
『なるほど、寄生された症状がちゃんと発症してるわね。怒りやすくなる……と。こうなってくるともう手遅れもいいとこ、隔離して正解だったと言えるわね』

 あくまでも分析に徹する永琳。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ! 死ねっ! 死ねっ! クソ医者っ! クソ医者死ねっ! 出せっ! 死ねっ! ゴミクズがあぁああぁあぁぁぁあっ!!!!!」
『一日二食、その小さな小窓から食料を配給してあげます。私が出来る善行……ってやつね。飽きるまでは配給してあげるから。トイレとかは……好きにすれば いいんじゃないかしら? 隅っこのほうで。クソ医者が教えてあげるのはここまで。……ゆっくりこのカメラで観察させてもらうから』
「死ねぇえええぇええぇえぇええぇえぇぇぇっっっっっ!!!!!!」

 リグルは脚力を駆使し、飛び上がりカメラを殴ろうとする。

「ぐっ!」

 しかしカメラには結界のようなものが張られており、見えない光の壁がリグルの拳をガードする。

「死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! くたばれええぇええぇえぇええぇえぇっっっっ!!!!!」

 結界に防がれた拳を地面に何度も叩きつけ、己で手を傷つけていくリグル。
 こうしてリグルの隔離生活が始まり、リグルとしての生活が終わった。



・3日目

 脳を腐食されていくのが自分でもわかる。

「こんなのって……ないよぉ……」

 身につけているマントを握りしめて自らの不幸を呪うリグル。
 彼女の心には絶望感しかなかった。
 自分が自分じゃなくなっていくのがわかる恐怖。脳がとけていくような感覚。じわりじわりとなぶり殺されていくような感覚。

「やだよぉ……やだよぉ……」

 ひたすら泣くばかり。
 思考もはっきりしない。

「う……あ……」

 頬をつたう涙がとぎれる。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」

 先ほどまで泣いていた彼女は激昂し、掴んでいたマントをひたすら噛み、叫ぶ。
 歯が砕けてしまうのではないか、というくらい噛みしめる。そして暴れる。

「ざけんなっ! ゴミがっ! 出せっ! 私をここから出せえええぇえぇぇえぇええぇっっっっ!!!!!」

 鬼気迫る感情を、ぶらさがっているカメラに声でぶつける。
 するとカメラから忌々しい音声が聞こえてきた。

『はぁい? リグルちゃん……元気?』
「お前えぇぇえええぇえぇえぇぇっっ!」

 もちろん音声の主は永琳。
 リグルを閉じ込め、隔離した張本人である。

「永琳っ、お前ええぇえぇえぇぇええぇっっっ!!!!」
『叫ぶことしか出来ないものね。そんな可哀想なリグルちゃんに朗報です、お友達をつれてきたわよ?』
「…………友達?」

 リグルがしかめっ面でカメラを見つめていると、部屋に光が差した。
 部屋の天井の一部分がパカッと開いて、そこから何かが落とされて、また締まった。
 落とされたもの、それは人間。リグルの見知った人物。

「ま、魔理沙……?」
「……うぅ」
『仲良くしなさいね?』

 含み笑いを混ぜた声がカメラから聞こえてくる。
 お友達、として落ちてきた人物。それは霧雨 魔理沙だった。
 ただ、いつもと様子が違う。見た目でわかる違和感。
 その頭には、リグルと同じキノコが生えていたのだ。

「魔理沙……ひょっとして魔理沙も……」
『うーん、キノコ好きが仇となったわね。魔理沙ってばどこかからその菌を貰ってきたみたい。幸い、あなたたち二人にしか症状は見られなかったからバイオハザードは免れるわね。幻想郷は今日も平和です……ってところかしら』
「魔理沙、大丈夫……?」

 永琳の言葉には聴く耳を持たず、魔理沙の身体を揺するリグル。
 だがこのとき、リグルの脳が揺さぶられたような感覚がした。

「魔理沙……魔理沙ぁ……?」

 ドクン、と胸が高まる。
 そして頭に生えたキノコを見つめる。
 このキノコを握ったら、魔理沙はどうなってしまうのだろう。
 ――――魔理沙を、壊したい。

「えへ、えへへへ……」

 実は、もはやキノコに脳の半分以上を支配されていたリグルに躊躇はなかった。
 間髪いれずに魔理沙の頭部のグロテスクなキノコを思いっきり握りしめる。

「えへへへへへへへへへへへへ」
「……ッイ、アギッ、う゛ぁァアアアアァアアァアァアァああぁあぁあっっっっっ!!!!!」

 落とされて半ば気絶状態だった魔理沙が、突然大声をあげる。
 キノコが生えた生き物にとって、キノコはもっとも敏感な部分である。

「えっへぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっ♪」
「オゴゴゴっ、ウ、ギ、ァアヴァアアヴァヴァアアヴァッッッッッ」
「えへ、ヘッ〜〜〜〜っ♪ ほぉおぉおおぉ〜〜〜〜っ♪」

 気が触れてしまったリグルは、魔理沙のキノコを握って引っ張る。
 白目を剥いた魔理沙はそのまま嘔吐してしまう。吐瀉物が周囲に飛び散り、コンクリートで密閉された部屋に吐瀉物のニオイが充満する。
 リグルは魔理沙が吐いた吐瀉物を舐めながら、その臭気などの不快感で自身もゲロを口からぶちまける。

「オゴオオゴオっ! オロロロっ♪ オゲエェエェエェエェエェッ♪」
「ギギ、ゴボッ、ゲ、ヒギッ! ギ! ギアァアアァアアァっ!!!!!」

 吐瀉物まみれの二人の少女。
 その様子をぶら下がったカメラのレンズがしっかりととらえている。

『仲良くやりなさいね、キノコ少女たち』

 カメラから聞こえてくる音声など、二人にはまったく聞こえていない。
 ひたすらキノコを握り、魔理沙を苦しめ、嘔吐の宴を開くリグル。
 もはやこのとき、心が壊れていたのだった。



・4日目

「あ〜……うぁい〜〜〜……だぁ〜〜〜〜〜」

 放り投げられた人形のように、だらりと地べたに垂れる魔理沙。
 彼女はリグルにキノコを握られ、そして壊れてしまった。
 もはや意識など何もなく、赤子のようにうめき声をあげるのみだ。

「あぎっ、あっ……あぉっ……といれ……」

 そしてリグル。
 脳へキノコがどんどん浸食していき、意識が死んでいくペースが早くなっていくのを自覚していた。
 しかし呂律は回っていなくとも、まだ魔理沙と違って自我は保てている。
 だが理性よりも本能、キノコの赴くままに動いてしまう。彼女はもはやリグルであって、リグルではなかった。
 宿主のための媒体だ。

「といれ……したい……」

 リグルに襲う排泄欲。
 彼女はこの部屋に隔離されてから、何とかトイレを我慢していた。それも羞恥や理性が働いていたからだ。
 だが、今の彼女にはその感情はない。

「といれ……あったぁ♪」

 唾液を垂れ流しながら見つめる視線の先には魔理沙。
 リグルにとって魔理沙はトイレとして認識していた。
 魔理沙に近づくリグル。そして魔理沙の前で履き物を脱ぎ去り、下半身を裸体で晒す。

「ん〜っ♪ んん〜っ♪」

 魔理沙にまたがったリグルは尻を魔理沙の顔面に零距離で押しつけ、がに股でうなる。
 ぷっくりと開いた肛門が汗でじっとりとしている。その蒸れたニオイが魔理沙の鼻をくすぐる。
 やがて湿った菊門から茶色い固まりが顔を覗かせた。そのまま下半身に力を込める。

「んっ、ん〜っ♪ んっひぃいいぃいぃ〜〜〜〜〜っっっっ♪ といれぇ〜〜〜〜〜〜っ♪」
「あ〜っ、だぁ〜〜〜〜〜……」

 ブリブリっ、と魔理沙の顔面に脱糞するリグル。
 密接していたために、リグルと尻と魔理沙の顔面が大便で塗りつぶされていく。

「すっきりぃいぃいいぃ……♪」

 どんどん排泄していくリグル。つぶされ、はみ出た糞が魔理沙の服や皮膚を汚していく。
 その魔理沙に尻を擦りつけ、けたけた笑うリグル。
 もはやまともな精神ではなかった。

「ひぃいぃ……っ? お、おへええぇえぇえっ〜〜〜〜♪」
「んぁ……だぁ……じゅるぅっ……」
「ペロペロぉっ♪ ペロペロっ♪ きゃっきゃっ♪」
「じゅぷっ……んふっ……んぅ〜…………」

 壊れた精神がそうさせたのか、魔理沙はリグルの肛門を舐めて綺麗にしていく。
 魔理沙の舌に茶色い大便がこびりつき、唾と合わさってドロリと溶けていく。
 尻穴をぬらりと刺激される快楽を味わいながら、無邪気にリグルは笑う。

「おしりぃ……んあ……♪ おしっこもしちゃお〜っと♪」
「じゅぞぞぞっ……ぺろっ、れろぉっ…………」

 アナル舐めに感極まったリグルは、尿道から黄色い小水を噴出させる。その尿が魔理沙の服に染みこんでいき、ますます不潔なモノになっていく。
 昨晩吐いた嘔吐物と、先ほど排泄した大便、そして尿が混じり酷い臭気が二人をますます興奮させ、狂わせる。

「おしっこ気持ちいいぃいいぃ〜〜〜〜♪ うんこ気持ちいいぃいいぃいぃ〜〜〜〜♪」
「だぁ〜〜っ、ばぶっ、んじゅるううっ、なぁっ、んあぁあぁ〜〜〜〜、れろれろぉっ、ほぉ〜〜〜〜っ」

 一心不乱に穴を舐める魔理沙。
 排泄の快楽に酔いしれるリグル。
 荒廃していく部屋。
 成長していくキノコ。
 この空間は、もはや狂気だけが支配していた。



・5日目

「おごっ、おぉおぉっ、げぇ……」
「えふっ、えふっ、えふっ」

 ただうずくまり、キノコの支配を待つ二人。リグルと魔理沙。
 その瞳はもう死んでいた。
 嗚咽だけを漏らし、自我の死を待つ。
 耳から、鼻から、穴という穴から汁を垂れ流して身体を痙攣させている。
 排泄物や吐瀉物、そして胞子が部屋に充満する。
 二人の服は尿やゲロ、唾液や汗などで完全に不衛生なものになっていた。それに加えて服の至るところに小さいキノコやカビが生えている。それは服だけでなく、身体や皮膚にも直接浸食している。

『そろそろね……』

 ――そんなつぶやきがカメラから聞こえた。



・6日目

「ぎ、ギギギっ。アブァっ、あぁあぁぁぁあぁぁあぁっ」

 もはや頭に生えたキノコに意識を支配されてしまったリグル。正確には意識を壊されてしまったのだが。脳を犯され、菌に醸され、思考をどろりと腐らされたリグル。彼女はもはやリグルという見た目の何かでしかなかった。

「あ〜……うあ〜…………えひぃ〜」

 そして魔理沙。同じく頭に奇妙なキノコを生やし、唾液を垂れ流しながら地面に這いつくばっている。彼女もまた、リグルと同じ犠牲者の一人である。
 尻を突き上げ、発情した猫のように揺らしながらじたばたともがいている。
 昨日とは真逆で、ひたすらに狂いながら暴れていく二人。
 ついに末期症状である。

「あ゛ぁッ♪」
「ギッ!」

 リグルは突然、魔理沙の首筋に噛みついた。
 そして、食いちぎる。

「ゲォオッ♪」
「い゛ぁあぁあぁああぁあぁああぁっ!!!!」

 言葉になっていない、知性などまったくないわめきが部屋を支配する。
 動脈ごと噛みちぎられた魔理沙の傷口から、噴水のような鮮血が噴きだす。それがリグルの身体を深紅に染めていく。
 血で汚れていくのを気にせずにどんどんと魔理沙を噛み、食いちぎっていくリグル。
 頬や指、ふとももが妖怪の歯によってえぐられていく。
 リグルはその肉を咀嚼しながら、顔を小刻みに揺らして目玉をグルグルと回す。

「きえっ、き、死……ぎっ」
「げげげげげげげっ? ぎ! ガぁっ?」

 セリフになってないセリフをお互いが交わす。意思疎通など全く出来ていないだろう。
 噛みちぎられた魔理沙も無抵抗ではない。
 拳や足を使って、リグルの腹や顔に全力で暴行を振る。破壊するということのみを行う、といった形相でひたすらリグルに打撃を与えていく。

「あああああああああああっ!」
「だぁああぁっ! だあああぁあぁっ!」
「おごっ、おごおおぉおおぉっっっっ♪」

 不意に入った魔理沙のボディーブローがみごとに決まり、リグルはその場で吐瀉物を口や鼻から勢いよくはき出す。
 目の前にいた魔理沙はそれをモロに浴びて、吐瀉物が傷口に染みこみ悲鳴をあげる。

「ギゲッ、おご、オボオォオオォオオォオオッ!!!!!」
「い゛ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!!!!!!!!」

 二人はのたうち舞う。
 そして互いの尻肉をスパンキングしあう。手の平で、何度も、何度も。朱色に腫れ上がるように。叫びながら、何度も。
 その衝撃で脱糞や放尿を繰り返す。お互いが排泄する機械となったかのようだ。

「あむぅっ♪ あひっ、んほぉおぉおっ♪」
「げひぇええ〜〜〜っ♪ ぎ、ギギっ♪ おモぉっ♪」

 叩き合いながら互いの肌に噛みついて、食いちぎる。
 それを食していく。互いが互いの肉を求め合う。肉は排泄物が腐ったようなニオイと味がした。
 血が噴きだし、お互いの肉がそがれる。そんな事ももはや気にならないくらいに二人は壊れてしまっていた。
 気が違っているとしか思えない行為、それがキノコに支配された二人の行く末であった。



・7日目

「酷い有様ね……」

 ガスマスクに宇宙服のような格好で、開かれた天井から縄を伝って永琳が下りてくる。
 部屋の惨状に絶句しながら、倒れ込む二人に寄っていく。二人は養分を吸われたために痩せきっていて、衰弱しきっていた。
 さらに二人は身体の至る部分がえぐられた状態であった。お互いが食い合ったためだ。
 地べたには糞だまりは尿だまり、血だまりが散乱している。そこに飛んでくっついた胞子が溜まったほこりのように山になっている。

「いい感じに成長したんじゃないかしら?」

 部屋や二人の状況とは裏腹に、声を弾ませながら懐からハサミを取り出す。
 そしてリグルと魔理沙に生えているキノコに刃を当てる。キノコは永琳が初めて見たときよりも格段に成長していて、たくましく反り返っていた。
 そのキノコを根本だけ残して、切りとっていく。

「うあ゛あごごごおおおごおおおおおごおおおおおおおおおおおおごごう゛ぉおおおおおおう゛ぉおおっっッッッッッッ!!!!!!!! ぎあ゛ぁああああああギッ、ろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、ミゲッあう゛ぁあああああ!!!!!!!」
「えげぎ゛ぃいいぃいぃいっっ!!!!!! う゛ぁい゛ぁあぁあぁ!!!!!!!! ぞおぉおぉおぉおいいいちいぃいっ! ぢちち゛ぁあぁあ あぁ!!!!!!! ッッッッッッッ!!!!!! め゛め゛め゛め゛め゛め゛め゛め゛め゛め゛め゛き゛ギイィイィイッッッッッ!!!!!!!!」

 脊髄反射のごとく、断末魔を口にするリグルと魔理沙。
 それを無視してキノコを採取していく永琳。

「これでまたいい薬が出来そうね。冬虫夏草は貴重だから、二人には感謝しないとね。南無南無」

 手の平を合わせて、苦しむ二人の少女に礼をする永琳。
 彼女の目的は『幻想郷に被害を増やさないこと』であった。そして他にも理由があったのだ。
 それは『新薬の素材となる、珍しいキノコの培養および採取』である。
 永琳は元・月の都の賢人であり、医者である。より多くの生物を救うのが彼女のポリシーだ。最初はリグルや魔理沙を救おうとしたが、それは叶わないことがわかった。しかし永琳は知っていた。このキノコが珍しく、薬の万能薬になる冬虫夏草のようなものだということを。
 賢い彼女は『二人を助けること』ではなく『今後、より多くの生物を助けること』を選んだ。地下に隔離し、被害を広めずにキノコを成長させ、それを頂く。これが彼女の計画であり、見事に成功したのだった。
 きっとこのキノコで作った新薬は、幻想郷の多くの生物を救うだろう。

「それじゃあ二人とも、またキノコが育ったら来るから。もう長くはないと思うけど、せいぜい長生きしてより多くのキノコを生やして頂戴ね」

 そんな言葉を残しながら、永琳は縄をたぐって上に登っていく。そして天井は閉じられる。
 残された二人。切り取られた頭のキノコ痕からは、もう新しい芽が出てきている。

「ヒヒッ……ヒヒヒヒッ…………」

 寝そべりながらリグルは笑う。
 胞子まみれの緑髪を揺らしながら彼女は笑う。
 痛みを感じながら少女は笑う。



 もはやそこにいたのは、ただの苗床でしかなかった。



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