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ショート水着



 幻想郷に、海はない。
 それが当たり前、それが定説、それが幻想郷。
 繰り返すが幻想郷には海がない。
 別に海などなくても困らない、という考えからか幻想郷の住民もそれを受け入れていた。



 ――だが、それを受け入れられない者がいた。



「なんで! こんなに! 暑いのに! 海水浴イベントの一つもおきないのよ!」
「神奈子様、騒ぐのは外でしてください。部屋の温度が上がりますから……」
「早苗。貴方、信仰するべき神様に対して辛辣すぎやしないかい……?」

 東風谷 早苗。
 八坂 神奈子。
 外の世界、つまりは海のあるということが当たり前の世界から来たよそ者達。
 季節は夏真っ盛り。セミの鳴き声という名の騒音がデフォルトになる季節。
 特に今年の幻想郷の夏は猛暑だと天狗が言っているのを神奈子は聞いていた。
 それにしても暑い、という愚痴で頭がいっぱいになるほどだ。

「河童の科学力でエアコンでも作れないかしら…………」
「外の世界に文明が近づくほどに神奈子様の立場はまた危うくなりますけどね」
「鋭い指摘……。早苗、成長したね」

 エアコンや扇風機などの外の世界での家電用品など、この幻想郷には勿論あるはずもない。

「海があればまだ海水浴とかにいけるのに……」

 神の威厳も何のその、といった寝っ転がった姿勢で神奈子はくだを巻く。

「神奈子様。ここに海はないですよ……」
「夏特有の水着イベントは!?」
「無いです」
「神は死んだ!」
「貴方が神です」
「そっか……」

 そんな暑さを紛らわすような会話をしてはまた黙る。駄目な女達がそこにいた。
 自堕落な時間を繰り返しているそんなときに彼女は現れた。

「いつまでもだらだらしているんじゃなーい!」

 突然部屋に乗り込んできた幼女は声を荒げた。その表情には明らかに怒っていることが窺える。

「諏訪子……」
「諏訪子様……」

 諏訪子と呼ばれるこの幼女。名は洩矢 諏訪子。
 ここ、洩矢神社に祀られる神様、神奈子と並ぶもう一人の神である。

「いつまでもだらだらしているんじゃなーい!」
「諏訪子様、そのセリフ二回目です」
「大事なことなので二回いったんだよ」
「諏訪子様、そのセリフ二回目です」
「一回目だよ! その「諏訪子様、そのセリフ二回目です」は大事なことじゃないでしょ!?」
「で、どうしたんですか諏訪子様」
「あ、そうだった」

 すこし冷静になった諏訪子は神奈子に向き直る。

「神奈子! お前に一言もの申ーす!」
「どこの2:50だお前は」
「幻想郷の信仰を我が者にするといっていた神奈子がそんな姿勢じゃ駄目駄目だよ! の駄目カンタービレだよ!」
「私の外の世界での友達が「のだめカンタービレって合体ロボでしょ?」っていってました!」

 早苗はニコニコ顔で発言したが諏訪子はスルーした。

「神奈子、いい? 海が駄目なら川があるじゃない! 湖があるじゃない! それでも十分水着がみれるじゃない!」
「水着でバレーボールは海じゃなきゃ出来ない……」
「何そのこだわり!」
「全裸バレーボールですね!」
「どこのソフトオンデマンド!? 早苗はどこでそういうのを覚えるの!?」

 早苗は全裸でバレーボールがしたいのだろうか。そしてあのような企画物は好きになれない諏訪子。

「バレーボールもコートをつくれば出来るよ! だから、私が言いたいのは暑くて泳ぎたい、そして水着がみたいんでしょ? 神奈子」
「はい! 私、八坂 神奈子は女の子の水着がみたいです! 暑いとかどうでもいいです!

 正直にいうと単に水着が見たかったんです!」

「私もさ、神奈子。だって神様って暑いとか関係ないし」
「そうだったんですか!?」

 早苗には衝撃の事実だった。

「諏訪子……やっと正直になれたよ私」
「今日限りで巫女をやめさせてもらいます」

 早苗が二人を軽蔑した目でみる。
 そして立ち上がって神奈子は宣言した。

「これから第一回・洩矢神社主催水着バレーボール大会を開催しようと思う! 諏訪子、場所の確保と準備を! 早苗はみんなを呼んできてくれ!」
「神奈子様はどうするんですか?」
「寝る!」

 このあと神奈子は諏訪子と早苗にみっちりお説教された。




 ★★★★★★★★★★★★★★★




 そして当日。
 神奈子は会場を眺めて叫んだ。

「なんでみんな全裸なの!?」

「だって早苗が全裸バレーボールだって」と湖に集まったみんな。
「あ、いけない。ソフトオンデマンドの撮影と勘違いしてました」
「早苗……」

 神奈子は真剣な表情で早苗をにらむ。
 怒られる! と早苗が身構えた瞬間。
 神奈子は早苗の両肩に手を置いて笑顔でこういった。

「これはこれで……あり!」

 結局、女の子の痴態なら何でもいい神奈子であった。



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