最強の傭兵タカ


「お前ら地獄行きだ」
 俺はタカ。この戦場で傭兵として雇われて、日夜戦いに励んでいる。人との殺しあいの日々。辛いが、これも生きるため。
 今日もマシンガン片手に敵軍へ突っ込む。顔もみたこともない依頼主の命令で、戦うのだ。
 昔はバンド活動をしていた。サンフラ、懐かしい響きだ。
 俺はベースを持って音楽でオーディエンスを湧かせていた。
 だが今は違う。俺はマシンガンを持って弾丸で敵兵を悲鳴で湧かせる。これが俺の望んでいた未来なのか? そう思うときがある。あんなことがなければ……



★★★★★



【5年前】
 今日も会社をクビになってしまった。

「どうしてだろうなー」

 俺が男の尻を触るとクビになるのだ。この癖のせいで50社クビになった。
 悔しい。俺は男が好きなだけなのに、どうして……人権はないのか……!
 日々、憤慨していた。こんなことではサンフラの練習に力が入らない。そう思いながら夜道を帰っていた。
 その時だった。

「タカ、コロス、ヨー!」

突然、数十人の黒人にかこまれたのだ。相手はどれもムキムキのホモ体質。

「このニオイ……海賊!」

俺は彼らの腋汗のニオイで職業を当てた。サンフラのバンド練がここで役にたった。そう、俺は黒人の海賊に囲まれていたのだ。

「オマエ、宝をモッテル! オレタチ、オシエテモラッタ! キル・ユー!」

海賊たちが騒ぎ出す。どうやら俺はナニモノかに狙われているようだ。刺客というわけか。やれやれ。

「お前ら、俺に勝てると思っているのか? タカ、お相手いたす」

 会社をクビになっていたこともあり、戦うことを決意した。

「さてと」
 俺は身体につけていた100トンの鎧を外す。すると中から筋肉質な裸体が姿を現す。そう、俺は全裸であれば能力が増す。

「かかってこいよ、坊やたち」
「バ、バカニシヤガッテ! コロシテヤルヨ!」

黒人たちが一斉にかかってきた。今夜は眠れなくなりそうだぜ……っと!

「ほらほら! ケツ締めろコラ!」

気がつくと俺は黒人たちと交わっていた。そう、おきまりのパターン。ホモセックスだ。

「アンッ! タカ最高ッ! サイコーヨ! アナルサイコーヨ! オレ、キョウカラッ! ホモにナル! ビュルルルッッ! ドクドクッ! ビュビュビュ、ビュ〜〜〜!!!!」
「オレノ! アバレディーガ! シャセートマラナイヨ!」
「一丁あがりっと」

気がつくと海賊たち三十人ほどを前立腺掘りでイカせていた。俺がまだいってないというのに情けない奴らめ。
やっぱり男児は日本産に限るな。そう思っていた。
だが、この闇夜に異様な気配がした。

「まだ終わっていない……!?」

気がつくと俺のくびすじにナイフが突きつけられていた。

「俺はヤミヤミの能力者、たけのこ。闇夜に完全にまぎれることが出来る。ご主人様の命令で、タカさん……貴方を殺します」

たけのこと名乗る男は押し当てるナイフの力を強める。くびすじから血が垂れる。

「何故俺を……?」

たけのこに疑問をぶつけた。

「今から死ぬ人間に答える義理はない。奥義・たけのこパンチ!」

 たけのこはナイフを捨てて俺に殴りかかってきた。
 何故だ。何故ナイフを捨てたのだ。
 とっても優勢だったのに。
 理解が出来ない。
 たけのこのパンチはまったく痛くない。
 何故これが奥義なのだ?
 どうして?

「ウオオ……」

俺はパニックになってしまった。

「たけのこパンチ! たけのこパンチ!」

 こいつは何と戦っているんだ?
 たけのこパンチ?
 思考回路がグチャグチャになってるところに、どこかから声が聞こえてきた。

「タカ、これを使え!」

 遠くからマシンガンが投げられ、俺はそれをキャッチする。

「マ、マシンガン?」
「いいからそれでたけのこを蜂の巣にしろ!」

 俺は遠くから聞こえてくる声に従い、闇夜に向かってマシンガンを乱射する。

「ウグゥ! 撃たれちまったでやんすよぉ〜! 死」

 たけのこを殺した。俺は射殺してしまった。人を殺してしまったのだ。まさかこんなことになるなんて……!

「気にする必要はない。どうやらキミは兵士の才能があるようだ。マシンガンもすぐに使いこなせたしな」
「お、お前は!」

 闇夜に一筋の灯りが照らされ、声の正体が把握できるようになる。そこにいたのは……。

「タカ、ようこそ。こちら側へ」
「な……ながもん!」

 そう、サンフラのサポートギター、そしてMISTY RAINのながもんだった。

「人を殺した気分はどうだった?」
「……俺はホモセックスのほうがいい」

 ながもんの問いを突っぱねるように返答する。

「だが、お前は戦わなければならない。今だって海賊に襲われただろう? もうお前だけの問題じゃないんだよ。それに、俺の……俺たちの依頼主もそれを望んでる」
「依頼主? それは一体」
「さぁ、俺も姿をみたことがない。だが、俺たちは見えない敵と戦わなければならない、と教えてくれたのが依頼主だ。さぁ、傭兵の世界へようこそ」

 ながもんは手を差し出してくる。俺は覚悟を決めてその手を掴む。

「朝からそんな気はしてたんだよな。……よろしく」

 こうして俺はわけのわからないまま、今までの生活を捨てて、傭兵としての生活が始まった。
 ヘリコプターでアフガニスタンに向かう途中、こんな会話をした。俺は言う。

「敵ってやつを地獄送りにしてやる」

 ながもんは返す。

「地獄ってのは良くない。それならヴァルハラっていったほうがかっこいいぜ」
「ヴァルハラ……『楽園』か」
「ああ。奴らをヴァルハラに送ってやろうぜ。俺たちは救世主だ。なぁ、タカ」
「ヴァルハラ! ヴァルハラ!」
「ハハハハ」
「ヴァルハラ! ヴァルハラ!」
「ハハハハ」


 ……こうして今に至るわけだ。
 傭兵としての生活は辛いが、なかなか楽しいもんだ。だってながもんがいるからな。
 毎晩ホモセックスしてる。何であいつのことがこんなに愛しいんだろう。同性なのに。

「俺……ホモなのかな」

ながもんのことを考えると胸が締め付けられる。腸液が漏れる。

「俺、ながもんのことが好きだ! 世界で! 一番! 愛してる! 俺はタカ! あいつはながもん! 二人は……一心同体だ!」

 ながもんのことを考えながら銃を撃つ。それだけで幸せな気持ちになれた。……だが、そんな日々は長く続かなかったのだ。
 ある夜のこと。俺は倉庫で眠ってると、一人の男がよろよろと入ってきた。

「タカ……逃げろ……これはゲームだったんだ」
「ながもん! いや、ながもん様! 違う、ながもん!」

 部屋に入ってきたのはながもん。俺が愛した人。ホモ。彼は血まみれで倉庫に倒れ込んだ。もう助からないのがわかる。
 俺は泣いた。

「ながもん、どうして」
「俺たちの依頼主……そして、敵の依頼主。これは同一人物だったんだ。俺も、黒人も、たけのこも……そしてお前も。全員、ヤツの遊びのコマに過ぎなかったんだ!」

 どうやら俺たちは金持ちの遊びに、コマとして戦わせられていたらしい。命をかけて。

「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」

 俺は怒った。

「タカ……巻き込んで、ゴメンな。俺も……お前のことが」
「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」

 俺は全力でながもんを殴った。

「グフッ! 何で! 死」

 ながもんは息を引き取った。苦しい死に方をさせたくなかったから。

「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」

 俺は依頼主を許さない。気がつくと倉庫を飛び出し、深夜のアフガンの荒野に舞い降りる。

「タカレーダー!」

 俺はベルトのスイッチをオンにし、右腕からアンテナを出す。

「……こっちだ!」

 依頼主の居場所がわかった。俺はワープしてアメリカに飛んだ。

「依頼主はどこだ! ヴァルハラに送ってやるぞ! ンアッー!」

 アメリカにワープすると王室のような場所に飛んでいた。

「ようこそ、ゲームのコマ……タカさん」

 王座には眼鏡をかけた男が座っていた。そいつは言葉を続ける。

「僕の名前はながみん。この時空では、初めましてかな」
「ながみん……? 時空……?」
「ふふ、時空犯罪者の僕の言うことが理解出来るとは思えないけどね」

 ながみんは小馬鹿にしたように笑う。

「貴様、ながもんをどうして殺した!」
「彼は真実に気がついてしまったから。そしてタカさんも……気がついてしまったね」

 こいつ、ながみんは悲しそうな顔をする。

「嗚呼、いつの時空にいったらタカさんは僕のことを愛してくれるんだ。タカさんは僕だけのものなのに、いつもあの男が邪魔をする。……だから殺した」

 よく内容を把握できないが、こいつのくだらない考えのせいでながもんは、死んだ。

「貴様だけは許さない」
「タカさん、僕を愛して」
「NO!!!!」

 俺は全力でながみんを殴る。

「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」

 だが、ながみんに拳が届く前に、謎の機械がパンチをガードした。俺のパンチはアフガンに地割れを起こしたはずなのに……。

「このロボットかい? これは『キウイボックス』っていって、最高の相棒さ」
「キウイボックス……!」

 俺は為す術がないまま、キウイボックスの攻撃を喰らう。このままだと……俺も死んでしまう! ながもんの二の舞だけはゴメンだ! 死にたくない! 死にたくない!

『タカ……俺たちがついてる……』

 死ぬ寸前、俺の脳内に声が響く。これは……?

『俺たちがついてる』

 ながもん!

『タカさん、たけのこパンチ……届きましたかね?』

 たけのこ!

『ファッキュー!』

 黒人!

『たけのこパンチ!』

 たけのこ!

「ウオオ……みんながついてるってことか……!」
「は? 何を言ってるの? タカさんはキウイボックスに屈服するんだよ。そして僕たちは……結ばれる」
「ほざけ!」

 みんなが俺を……あの世から応援してくれている!
 カッ!
 全身にエネルギーがあふれてくる。俺の力が限界を超え、背中から翼が生えた。

「ヴァルハラ・タカ。ここに見参」
「ヴァルハラ・タカ? 僕、ながみん。よろしく」

 挨拶してくるながみんに向かってレーザーを発射する。

「ヴァルハラビーム」

 くだらない機械を穴だらけにしてやる。

「そんな! 僕のキウイボックスが!」
「ながみん、終わりだ」

 俺はキウイボックスに向かってレーザーの照準を合わせた。

「へ、へへへ」

 ながみんは笑う。

「何がおかしい」
「今までの僕とは違うんだよ。キウイボックス! 変形!」

 ながみんが叫ぶとキウイボックスがカプセル型に変形する。

「へへ、この中にいれば絶対に安全なんだ。どんな攻撃も無効化する」

 そう言いながらながみんはカプセルに入り、ハッチが閉まった。

「ヴァルハラパンチ! ヴァルハラパンチ!」

 だがカプセルには傷ひとつつかない。中のながみんがケラケラ笑う。そう、この絶対に安全なのだ。これでは勝てない。そう思った時、背後から声が聞こえた。

 「あっ、そのカプセルに入っちゃったんですか」
「あんたは!」

 そこにいたのは天篭り博士だった。
 天篭り博士。彼は俺のバンド時代のセフレで、そして天才だった。だが、ある日を境に消えてしまった。まさかこんな場所で再開出来るとは。

「ながみんにさらわれて監禁ちゃってね」

 自慢のCJDこいしちゃんコスが光る。勃起している。あとでホモセックスしよう。そう決意すると共に俺も勃起してきた。

「このキウイボックスのカプセルは絶対安全なんだ。そう、中にいる人も……外にいる人もね。このハッチは二度と開かない。ながみんはこのカプセルの中で絶対安全、永久に生きることになるんだ」
「俺たちも絶対に安全ってことですか」
「はい♪」

 これが時空犯罪者ながみんの哀れな末路だった。
 こうして俺の傭兵としての生活に終止符が打たれた。カプセルはマリアナ海溝に沈めた。そして……。

「タカさん! いっぱいホモセックスしようねっ♪ んぅ……私のオチンチンがムズムズするよう」
「初夜まで我慢しろって」
「勃起チンポびゅるるってしちゃうううぅっ! んほぉおぉ〜〜〜〜♪ ホモチンコびゅるるルルル〜〜〜〜ンッ♪」

 今日は俺と天篭りの結婚式。
 天篭りのこいしコスと、俺のウェディングドレス。これが俺たちの結婚式だ。
 傭兵時代のことは一生忘れない。
 だが、俺たちには未来がある。未来は俺らの手の中。
 さぁ、新しい人生を歩もう!

「天篭り……今日は掘られるほうもヤリたい♂」
「タカさんのエッチ!」

 みんなが、太陽が祝福してくれた。

「タカさん……次こそは必ず……」

 どこからかさえずりが聞こえる。明らかに愛憎が篭もったその声。
 ながみんは自慰をしながら、カプセルからあーだこーだして脱出して、次の時空へ飛ぶのだった……。




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