最強の傭兵タカ
「お前ら地獄行きだ」
俺はタカ。この戦場で傭兵として雇われて、日夜戦いに励んでいる。人との殺しあいの日々。辛いが、これも生きるため。
今日もマシンガン片手に敵軍へ突っ込む。顔もみたこともない依頼主の命令で、戦うのだ。
昔はバンド活動をしていた。サンフラ、懐かしい響きだ。
俺はベースを持って音楽でオーディエンスを湧かせていた。
だが今は違う。俺はマシンガンを持って弾丸で敵兵を悲鳴で湧かせる。これが俺の望んでいた未来なのか? そう思うときがある。あんなことがなければ……
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【5年前】
今日も会社をクビになってしまった。
「どうしてだろうなー」
俺が男の尻を触るとクビになるのだ。この癖のせいで50社クビになった。
悔しい。俺は男が好きなだけなのに、どうして……人権はないのか……!
日々、憤慨していた。こんなことではサンフラの練習に力が入らない。そう思いながら夜道を帰っていた。
その時だった。
「タカ、コロス、ヨー!」
突然、数十人の黒人にかこまれたのだ。相手はどれもムキムキのホモ体質。
「このニオイ……海賊!」
俺は彼らの腋汗のニオイで職業を当てた。サンフラのバンド練がここで役にたった。そう、俺は黒人の海賊に囲まれていたのだ。
「オマエ、宝をモッテル! オレタチ、オシエテモラッタ! キル・ユー!」
海賊たちが騒ぎ出す。どうやら俺はナニモノかに狙われているようだ。刺客というわけか。やれやれ。
「お前ら、俺に勝てると思っているのか? タカ、お相手いたす」
会社をクビになっていたこともあり、戦うことを決意した。
「さてと」
俺は身体につけていた100トンの鎧を外す。すると中から筋肉質な裸体が姿を現す。そう、俺は全裸であれば能力が増す。
「かかってこいよ、坊やたち」
「バ、バカニシヤガッテ! コロシテヤルヨ!」
黒人たちが一斉にかかってきた。今夜は眠れなくなりそうだぜ……っと!
「ほらほら! ケツ締めろコラ!」
気がつくと俺は黒人たちと交わっていた。そう、おきまりのパターン。ホモセックスだ。
「アンッ! タカ最高ッ! サイコーヨ! アナルサイコーヨ! オレ、キョウカラッ! ホモにナル! ビュルルルッッ! ドクドクッ! ビュビュビュ、ビュ〜〜〜!!!!」
「オレノ! アバレディーガ! シャセートマラナイヨ!」
「一丁あがりっと」
気がつくと海賊たち三十人ほどを前立腺掘りでイカせていた。俺がまだいってないというのに情けない奴らめ。
やっぱり男児は日本産に限るな。そう思っていた。
だが、この闇夜に異様な気配がした。
「まだ終わっていない……!?」
気がつくと俺のくびすじにナイフが突きつけられていた。
「俺はヤミヤミの能力者、たけのこ。闇夜に完全にまぎれることが出来る。ご主人様の命令で、タカさん……貴方を殺します」
たけのこと名乗る男は押し当てるナイフの力を強める。くびすじから血が垂れる。
「何故俺を……?」
たけのこに疑問をぶつけた。
「今から死ぬ人間に答える義理はない。奥義・たけのこパンチ!」
たけのこはナイフを捨てて俺に殴りかかってきた。
何故だ。何故ナイフを捨てたのだ。
とっても優勢だったのに。
理解が出来ない。
たけのこのパンチはまったく痛くない。
何故これが奥義なのだ?
どうして?
「ウオオ……」
俺はパニックになってしまった。
「たけのこパンチ! たけのこパンチ!」
こいつは何と戦っているんだ?
たけのこパンチ?
思考回路がグチャグチャになってるところに、どこかから声が聞こえてきた。
「タカ、これを使え!」
遠くからマシンガンが投げられ、俺はそれをキャッチする。
「マ、マシンガン?」
「いいからそれでたけのこを蜂の巣にしろ!」
俺は遠くから聞こえてくる声に従い、闇夜に向かってマシンガンを乱射する。
「ウグゥ! 撃たれちまったでやんすよぉ〜! 死」
たけのこを殺した。俺は射殺してしまった。人を殺してしまったのだ。まさかこんなことになるなんて……!
「気にする必要はない。どうやらキミは兵士の才能があるようだ。マシンガンもすぐに使いこなせたしな」
「お、お前は!」
闇夜に一筋の灯りが照らされ、声の正体が把握できるようになる。そこにいたのは……。
「タカ、ようこそ。こちら側へ」
「な……ながもん!」
そう、サンフラのサポートギター、そしてMISTY RAINのながもんだった。
「人を殺した気分はどうだった?」
「……俺はホモセックスのほうがいい」
ながもんの問いを突っぱねるように返答する。
「だが、お前は戦わなければならない。今だって海賊に襲われただろう? もうお前だけの問題じゃないんだよ。それに、俺の……俺たちの依頼主もそれを望んでる」
「依頼主? それは一体」
「さぁ、俺も姿をみたことがない。だが、俺たちは見えない敵と戦わなければならない、と教えてくれたのが依頼主だ。さぁ、傭兵の世界へようこそ」
ながもんは手を差し出してくる。俺は覚悟を決めてその手を掴む。
「朝からそんな気はしてたんだよな。……よろしく」
こうして俺はわけのわからないまま、今までの生活を捨てて、傭兵としての生活が始まった。
ヘリコプターでアフガニスタンに向かう途中、こんな会話をした。俺は言う。
「敵ってやつを地獄送りにしてやる」
ながもんは返す。
「地獄ってのは良くない。それならヴァルハラっていったほうがかっこいいぜ」
「ヴァルハラ……『楽園』か」
「ああ。奴らをヴァルハラに送ってやろうぜ。俺たちは救世主だ。なぁ、タカ」
「ヴァルハラ! ヴァルハラ!」
「ハハハハ」
「ヴァルハラ! ヴァルハラ!」
「ハハハハ」
……こうして今に至るわけだ。
傭兵としての生活は辛いが、なかなか楽しいもんだ。だってながもんがいるからな。
毎晩ホモセックスしてる。何であいつのことがこんなに愛しいんだろう。同性なのに。
「俺……ホモなのかな」
ながもんのことを考えると胸が締め付けられる。腸液が漏れる。
「俺、ながもんのことが好きだ! 世界で! 一番! 愛してる! 俺はタカ! あいつはながもん! 二人は……一心同体だ!」
ながもんのことを考えながら銃を撃つ。それだけで幸せな気持ちになれた。……だが、そんな日々は長く続かなかったのだ。
ある夜のこと。俺は倉庫で眠ってると、一人の男がよろよろと入ってきた。
「タカ……逃げろ……これはゲームだったんだ」
「ながもん! いや、ながもん様! 違う、ながもん!」
部屋に入ってきたのはながもん。俺が愛した人。ホモ。彼は血まみれで倉庫に倒れ込んだ。もう助からないのがわかる。
俺は泣いた。
「ながもん、どうして」
「俺たちの依頼主……そして、敵の依頼主。これは同一人物だったんだ。俺も、黒人も、たけのこも……そしてお前も。全員、ヤツの遊びのコマに過ぎなかったんだ!」
どうやら俺たちは金持ちの遊びに、コマとして戦わせられていたらしい。命をかけて。
「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」
俺は怒った。
「タカ……巻き込んで、ゴメンな。俺も……お前のことが」
「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」
俺は全力でながもんを殴った。
「グフッ! 何で! 死」
ながもんは息を引き取った。苦しい死に方をさせたくなかったから。
「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」
俺は依頼主を許さない。気がつくと倉庫を飛び出し、深夜のアフガンの荒野に舞い降りる。
「タカレーダー!」
俺はベルトのスイッチをオンにし、右腕からアンテナを出す。
「……こっちだ!」
依頼主の居場所がわかった。俺はワープしてアメリカに飛んだ。
「依頼主はどこだ! ヴァルハラに送ってやるぞ! ンアッー!」
アメリカにワープすると王室のような場所に飛んでいた。
「ようこそ、ゲームのコマ……タカさん」
王座には眼鏡をかけた男が座っていた。そいつは言葉を続ける。
「僕の名前はながみん。この時空では、初めましてかな」
「ながみん……? 時空……?」
「ふふ、時空犯罪者の僕の言うことが理解出来るとは思えないけどね」
ながみんは小馬鹿にしたように笑う。
「貴様、ながもんをどうして殺した!」
「彼は真実に気がついてしまったから。そしてタカさんも……気がついてしまったね」
こいつ、ながみんは悲しそうな顔をする。
「嗚呼、いつの時空にいったらタカさんは僕のことを愛してくれるんだ。タカさんは僕だけのものなのに、いつもあの男が邪魔をする。……だから殺した」
よく内容を把握できないが、こいつのくだらない考えのせいでながもんは、死んだ。
「貴様だけは許さない」
「タカさん、僕を愛して」
「NO!!!!」
俺は全力でながみんを殴る。
「ウオオオアアオオアアーーーーーッッッッ!」
だが、ながみんに拳が届く前に、謎の機械がパンチをガードした。俺のパンチはアフガンに地割れを起こしたはずなのに……。
「このロボットかい? これは『キウイボックス』っていって、最高の相棒さ」
「キウイボックス……!」
俺は為す術がないまま、キウイボックスの攻撃を喰らう。このままだと……俺も死んでしまう! ながもんの二の舞だけはゴメンだ! 死にたくない! 死にたくない!
『タカ……俺たちがついてる……』
死ぬ寸前、俺の脳内に声が響く。これは……?
『俺たちがついてる』
ながもん!
『タカさん、たけのこパンチ……届きましたかね?』
たけのこ!
『ファッキュー!』
黒人!
『たけのこパンチ!』
たけのこ!
「ウオオ……みんながついてるってことか……!」
「は? 何を言ってるの? タカさんはキウイボックスに屈服するんだよ。そして僕たちは……結ばれる」
「ほざけ!」
みんなが俺を……あの世から応援してくれている!
カッ!
全身にエネルギーがあふれてくる。俺の力が限界を超え、背中から翼が生えた。
「ヴァルハラ・タカ。ここに見参」
「ヴァルハラ・タカ? 僕、ながみん。よろしく」
挨拶してくるながみんに向かってレーザーを発射する。
「ヴァルハラビーム」
くだらない機械を穴だらけにしてやる。
「そんな! 僕のキウイボックスが!」
「ながみん、終わりだ」
俺はキウイボックスに向かってレーザーの照準を合わせた。
「へ、へへへ」
ながみんは笑う。
「何がおかしい」
「今までの僕とは違うんだよ。キウイボックス! 変形!」
ながみんが叫ぶとキウイボックスがカプセル型に変形する。
「へへ、この中にいれば絶対に安全なんだ。どんな攻撃も無効化する」
そう言いながらながみんはカプセルに入り、ハッチが閉まった。
「ヴァルハラパンチ! ヴァルハラパンチ!」
だがカプセルには傷ひとつつかない。中のながみんがケラケラ笑う。そう、この絶対に安全なのだ。これでは勝てない。そう思った時、背後から声が聞こえた。
「あっ、そのカプセルに入っちゃったんですか」
「あんたは!」
そこにいたのは天篭り博士だった。
天篭り博士。彼は俺のバンド時代のセフレで、そして天才だった。だが、ある日を境に消えてしまった。まさかこんな場所で再開出来るとは。
「ながみんにさらわれて監禁ちゃってね」
自慢のCJDこいしちゃんコスが光る。勃起している。あとでホモセックスしよう。そう決意すると共に俺も勃起してきた。
「このキウイボックスのカプセルは絶対安全なんだ。そう、中にいる人も……外にいる人もね。このハッチは二度と開かない。ながみんはこのカプセルの中で絶対安全、永久に生きることになるんだ」
「俺たちも絶対に安全ってことですか」
「はい♪」
これが時空犯罪者ながみんの哀れな末路だった。
こうして俺の傭兵としての生活に終止符が打たれた。カプセルはマリアナ海溝に沈めた。そして……。
「タカさん! いっぱいホモセックスしようねっ♪ んぅ……私のオチンチンがムズムズするよう」
「初夜まで我慢しろって」
「勃起チンポびゅるるってしちゃうううぅっ! んほぉおぉ〜〜〜〜♪ ホモチンコびゅるるルルル〜〜〜〜ンッ♪」
今日は俺と天篭りの結婚式。
天篭りのこいしコスと、俺のウェディングドレス。これが俺たちの結婚式だ。
傭兵時代のことは一生忘れない。
だが、俺たちには未来がある。未来は俺らの手の中。
さぁ、新しい人生を歩もう!
「天篭り……今日は掘られるほうもヤリたい♂」
「タカさんのエッチ!」
みんなが、太陽が祝福してくれた。
「タカさん……次こそは必ず……」
どこからかさえずりが聞こえる。明らかに愛憎が篭もったその声。
ながみんは自慰をしながら、カプセルからあーだこーだして脱出して、次の時空へ飛ぶのだった……。
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