ジグソーピース・サンプル
河童だってそりゃあ考える。
悩んだりもする。想ったりもする。頭の中が雑多なおもちゃ箱みたいに色々な思考が脳味噌に散らばってるんだ。
だけれども、それでも心の中は空っぽなんだ。ポッカリと穴が空いた、というよりは一つだけはまってないジグソーのようにピースが足りてない感じ。そこにあるべきものがないんだ。
こんなにも脳内がうるさいのに隙間は埋まらない。
でも結局、時間は激流と一緒で止まることなく無常に過ぎていく。だから心のむなしさなんてものはささいな問題で生きていくのに精一杯。それは人間だって河童だって一緒さ。
あくせくと日々を過ごして、過ごして、過ごして。
面白くもつまらなくもある時間をなんとなく繰り返し繰り返しで。
それのどこが悪いのかっていわれたら何も悪くない。これが当たり前なんだもの。生きるってそういうものじゃないか。
でも。
それでも。
それでもわたしは欲張りなんだろうか、求めてしまう。刺激ってやつを。とびっきりの刺激を。退屈にツバを吐きかけるような刺激を。
わたしだけじゃ、私にはないジグソーピースが欲しいんだってこと。平凡の二文字が大嫌いな私だから。臆病で、傲慢で、そして変わり者の私だから。
わたしに足りないジグソーピースで心の図画を完成させたい。
そこに描かれた作品にはいったい何が映ってるんだろうか。少なくとも悪いものじゃないだろう。きっとワクワクがつまってる。
きっと、そんな気がするんだ。
(続く)
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